Total Materiaの物理的特性

密度、ヤング率、ポアソン係数、熱伝導率、電気抵抗率など金属の物理的特性は熱処理や加熱処理をされた化学組成分や相組成分のバリエーションから結晶子軸方向に及ぶ多くの要因によって決定されます。金属の物理的特性の値は結晶格子で測定される方向性にしばしば左右されることがあるために単純なスカラ-量ではありません。したがって提示される数字は一般的に近似値となります。

一般的に金属物理的特性のコンセプトは容易でも簡単でもありませんがきちんと理解しておくことが最も重要です。お忘れにならないで頂きたいのは金属の物理的特性は著しく変わることがあります。したがってTotal Materiaで表示される値が規格開発機関(SDOs)によるものであっても目安となるだけのもので最終設計用としては使用できない点です。ある特定用途のために金属特性とその適合性の最終的な調査とテストを実施する場合にはユーザー様の責任となります。

Total Materiaは冶金学専門家や材料を専門的に扱う方々へ関連する情報を出来るだけ多く提供する為に物理的特性を示す取り組み方を開発してきました。物理的特性はSDOs(規格開発機関)が発表する最も信頼性ある規格仕様書からさまざまなソースの提供する一般化した情報に至るまでの一連のカテゴリ-と考えられます。この連続した取り上げ方には以下のようにはっきり区別されるカテゴリーが3つあります。

公表されている情報

材料にはその物理的特性がSDOs(規格開発機関)が発行した材料仕様書に示されているものがあります。 SDOs(規格開発機関)発表の情報は一般的には信頼性のあるものですが、物理的特性として表示される値は通常の場合は目安としてのみの記載です。 サプライヤにとってしばしば必須の遵守要件である引張応力や降伏応力などの機械的特性とは違い物理的特性は特に合意事項の無い限り、通常は目安としての値となりそれには大きな幅が認められています。

他のソースから提供される情報

Total Materiaカテゴリ-で金属物理的特性の他のソースには金属業界学術論文、パンフレット、メーカーのカタログやインターネット上に公開されている分析結果と文献などの情報が収められております。Total Materia 冶金学専門家ならびに技術者はこのような資料を調査しそれが妥当性あるものかどうかを判定します。 これらのソースから得られる情報は通常は誤りはないのですが、私どもは信頼性のレベルはSDOs(規格開発機関)が発表する内容と比較すると低いものと考えております。したがって材料の特性やそれに相応した用途のより一層厳しい分析を行う必要があります。

標準値

Total Materiaは冶金学専門知識、統計応用学、分析文献をベースとして冶金学的・物理的類似性によってグループ化されたいろいろな金属グループに対し標準的な特性値を表示します。これら標準値は元々近似値であって計算用の最初の出発点としてのみに使うことができますが最終値として使用することはできません。